2011年1月5日水曜日

姜尚中「姜尚中の政治学入門」集英社新書

なんてわかりやすい政治学入門書だろうとびっくりしました。
アメリカ、暴力、主権、憲法、戦後民主主義、歴史認識、東北アジア
これらの7章を通じて現代の日本を政治がどうであったかを歴史的認識を駆使して、興味深く、具体的にとらえます。
読んでいて難しくなんかないし、身近な話ばかりで、しかもレベルの高い内容でした。章ごとに、たとえば戦後民主主義では丸山真男「超国家主義の論理と心理」やジョンダワ―の「敗北を抱きしめて」などの名著も紹介し、さらに深く探求できるような仕組みになっている。
丸山の「永久革命としての民主化」という思想はいかにも戦後的で民衆の政治的行動の原点でした。そういうこともちゃんと教えてくれます。

2010年11月27日土曜日

ヲコ(烏滸)出でよ

 柳田国男の『笑の本願』の序に、「町にも村里にも家にも路上にも、高笑の声が甚だ乏しくなった頃から、急に世間には「たのしい」といふ古い形容詞が流行し始めた」とある。さらに「じっと幼い人たちの挙動を見て居ても、今は彼等の笑ふといふことが、よほど以前よりも少なくなって居るのは、言ひやうも無い深い我々の寂しさである」と書いている。これが昭和二十年の話である。今から六十有余年前のことだ。そのときすでに笑いが乏しくなったと柳田国男は嘆いていたわけだ。そして柳田は「人を楽しませるといふ運動を、将来の一つの目標として見たい。といふやうな「ヲコ」の願望を、今もまだ自分は抱いて居る」とつぶやいている。(注 ヲコ=烏滸、烏滸がましいのヲコであるが、その意味は進んで人を笑わせようとするもの、バカのこと)
 今日、街角に生活者の健全な高笑いを聞くことはない。町角や公園に行っても遊ぶ子どもの笑い声に出くわすことは滅多にない。チンドン屋も焚き火もテキ屋も口笛を吹く人も見かけなくなった。いったいヲコはどこにいる? 誰かヲコになって人を笑かそうとするものはいないか。

2010年8月30日月曜日

四季の森社・新刊 小泉周二13年ぶりの詩集 『小さな人よ』 ISBN978-4-905036-00-5C0092 作品紹介 

四季の森社の新刊です。 2010年8月25日 発売。
小泉周二13年ぶりの詩集  『小さな人よ』    
   今どんな夢を見ているのですか             定価1260円(本体1200円+税)

 


帯紹介

この詩集の詩は私の目が見えなくなってから書いた詩です。このような形で自分の生きた証が残せることをうれしく思います。(小泉周二/あとがきから)
              

詩集『小さな人よ』から作品紹介


新しい時間     小泉周二


赤ちゃんが泣きだした
初めての空気をすいこんではきだして

赤ちゃんが生まれた

お父さんは
お母さんの手をぎゅっと握って
赤ちゃんが無事に生まれますようにと祈っていた
お母さんは
からだじゅうの力を出しつくして赤ちゃんを産んだ

お父さんが
よかったと言って泣いた
お母さんが
ありがとうと言って泣いた

赤ちゃんが生まれた
お母さんが生まれた
お父さんが生まれた

新しい時間が生まれた

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