2014年4月16日水曜日

学芸大学駅前の恭文堂様、町田の久美堂様(本店(小田急町田駅東口 カリヨン広場前)と小田急店(町田の小田急百貨店内))が、清水ひさし詩集『かなぶん』を取り扱ってくださることになりました。

町田の久美堂様が本店(小田急町田駅東口 カリヨン広場前)と小田急店(町田の小田急百貨店内)で特別に力を入れて清水ひさし詩集『かなぶん』を取り扱ってくださることになりました。詩が好きな方、お近くの方、小田急ご利用の方はぜひ手にとってご覧ください。
http://www.hisamido.co.jp/index.html
清水ひさし詩集『かなぶん』は誰でもわかる言葉で書かれた詩です。難解で頭でっかちな現代詩と違い、大人も子どもも楽しんで読むことが出来ます。もちろん、ほんとうに才能のある詩人はごく限られています。今回、三越左千夫少年詩賞を受賞した清水ひさし氏も才能あるほんものの詩人です。

ぜひ、お手に取ってご覧ください。

2014年4月7日月曜日

第18回三越左千夫少年詩賞 受賞!

 今年度(2014)、第18回三越左千夫少年詩賞に、
 
 清水ひさし詩集『かなぶん』(四季の森社)、
 檜 きみこ詩集『クケンナガヤ』(私家版)
 
 の2つの詩集の受賞が決まりました。
 お二人ともおめでとうございます。

 そして、今回の受賞で、清水氏も檜氏も新たな力を得て、これからも素晴らしい詩を作ってくださることと思います。
 どんな詩ができるのか、とても楽しみです。


***************

 PS;清水ひさし詩集『かなぶん』の受賞は版元としても、嬉しい限りです。
    清水様、そして絵を描いてくださった池田様ありがとうございます。

2013年12月24日火曜日

清水ひさし詩集 かなぶん

清水ひさし詩集 かなぶん ができました!


2013年12月25日 四季の森社 発行
ISBN978-4-905036-06-7 C0092
本分176頁 A5変形上製本 定価1400円+税
著者 清水ひさし
絵 池田朋之




書店にまわるのは年明けかもしれません。
著者の清水ひさし(しみずひさし)さんは一九四八年二月、種子島のお生まれです。
詩歴は長いのですが、はじめての詩集になります。まさに待望の詩集です。

この詩集は私が言うのも変ですが、素晴らしい詩集なのです。
詩の好きな、こころあるひとにはぜひ読んで欲しいと思っています。
ご参考までに以下、詩を数編、それにカバー画像も添付しました。



 野原のまほうびん   清水ひさし


野原にすてられた
古いまほうびんが
ぼんやり 空をながめている

自分はいったい何だったのか
どんなまほうを使っていたのか
おもいだせそうなのに
とんとおもいだすことができないで
あんぐり 口を開けたまま
空をながめている

まいったなあ
おれも年をとったなあって
まほうびんがつぶやいている

でも
なんの なんの

だれかに少しでも喜ばれると
ことわりきれなくってねぇなんて
おなかに ボウフラ泳がせる
今の仕事
ちょっぴりはにかみながら
今日も精を出している


 ハエ   清水ひさし


ハエは
ほしたふとんが好き
お日さまの当たるえんがわが好き
しっぽで追われても
牛や馬が好き

きらわれても
きらわれても
ぬくもりのあるものが好きなのは
たぶん
うじ虫の頃から
あたたかな思いをしたことがないから

ハエは
ほしたちゃわんが好き
台所の天井が好き
豚や人の背中が好き

しっぽや
ハエたたきで叩かれても
それでも
ぬくもりのあるものが好き



 うお   清水ひさし


うおうおをおう

にげるうおおううお

うおおううおをおううお

にげるうおうおうさおう

うおうようようようようようよ

うようよのうおうさおうのうおおううお



 鍵のない島   清水ひさし


わたしの生まれた島には
泥棒がいませんでした

どの家にも
鍵はありませんでした
どの家も貧しく
似たような生活ですから
盗むことも
盗まれることもないのでした

ツワブキ
浜セリ
ナガラメ
モハミ
それらを食膳にのせるのが
島の人のぜいたくでした

海の幸
山の幸は
豊富にありました

しかしきびしい島でもありました
夏から秋にかけて
台風の通り道となり
しばしば作物は荒らされるのでした

台風で家が壊されると
人々は
何はさておき集まり
家を建てるのでした

人が共同しなければ
生きていけない島でした



 秋風   清水ひさし


今日一日
すすきが空に描いた雲を
秋風が
せっせと掃き集めている

雲を描くため生まれてきた
すすきたちのため

すすきたちが 思う存分
明日の雲を
空に描けるよう

秋風が空を新しくしている



 トンボ   清水ひさし


おまえの悪口を
聞いたことがないな

ときどき 石にとまって
石を嚙んでみたり
目玉を大きくまわしてみたり

ふるさとを思い出させたり
そっと 秋を知らせたり

なんのかざりもなく
なんの無理もなく
肩に なんの力も入れず
飛びまわっている おまえ

つくった愛らしさでないんだな
自然のまんまに
生まれてきた そのまんまに
生きているんだな



 ひとひらの雪   清水ひさし


あ 雪 と思ったら
ひとひらの梅の花でした

わたしの頭上を 通りすぎるとき
小鳥がこぼしてくれたものでした

わたしは 立ちつくし
ひとひらの雪に見とれていました

雪のふらない ふるさとの
南の島のことでした

あの 五十年以上もむかしの雪が
今も わたしの瞼に降ってきます

あなたのような 身の上の者にも
いいこと いっぱいありますよと

小鳥が わたしにこぼしてくれた
あの ひとひらの雪

2013年7月26日金曜日

岩佐敏子詩集『ふしぎランド』

岩佐敏子詩集『ふしぎランド』ができました。     


詩と絵 岩佐敏子
こども四季の森 ISBN978-4-905036-05-0 C0092
定価:1200+

あっ 大変  おへそがない!

音で編んだ不思議なジャケット・文字で描いた
すてきな絵・ポップコーンになったジャズ・
お国自慢の民謡を煮こんだおいしい鍋……

ことばの遊び場「ふしぎらんど」にようこそ!


岩佐 敏子(いわさ としこ)
東京都生まれ。
詩集に「へんてこらんど」(リーブル、1997)、「で
たらめらんど」(いしずえ、2004)、「かぞくぞくぞ
く」(共著、らくだ出版、2003)、「そっとポケット
のなかに」(共著、日本出版教育センター、2008)。
インド児童文学の翻訳書に「トラの歯のネックレス」
(共著、ぬぷん児童書出版、1998)、「ヒマラヤの風
にのって」(共著、段々社、2009)。
日本児童文学者協会会員、日本国際児童図書評議会
(JBBY)会員、モダンアート協会会員。

ゆかた

夏やすみになると
いなかにいって
ゆかたをきて
お祭りに
でかけたものだった  

おまつりの舞台では
おばあちゃんが
民謡をうたいながら
三味線をひいている
おじいちゃんが
祭りばやしにあわせて
太鼓をたたいている

わたしの ゆかたは
おばあちゃんの
三味線の音を
たて糸に
おじいちゃんの
太鼓の音を
よこ糸にして
織った
かすりの木綿で
できていた


ジャケット

冬やすみになると
ストーブのそばで
ジャケットをはおって
賢治の童話を
よみふけったものだった
本のなかでは
セロひきのゴーシュが
くるったように
セロをひきまくっている
山猫があわせるように
はげしく
ドアをたたいている
わたしのジャケットは
ゴーシュの
セロの音を
たて糸に
山猫の
ドアの音を
よこ糸にして
織った
ツイードで
できていた



なかのよい音と色

キヤッツ キヤッツ キヤッツ
音にさそいだされて
黄色がついていくと
音は
遊園地でげんきよく
遊んでいる子どもたちの中に
はいりこんでいました
子どもたちのまわりは
黄色でいっぱい
サラ サラ サラ
音にさそいだされて
うす緑がついていくと
音は
みずみずしい若葉が
しげった木々の林の中に
はいりこんでいました
林は
うす緑でいっぱい
トン トン トン
音にさそいだされて
茶色がついていくと
音は
家をつくっている
大工さんのたたくハンマーの中に
はいりこんでいました
大工さんのまわりは
茶色でいっぱい
ポロン ポロン ポロン
音にさそいだされて
水色がついていくと
音は
あじさいの花に
降りそそいでいる雨の中に
はいりこんでいました
あじさいのまわりは
水色でいっぱい







ふしぎらんどの時間たち
       ―――あとがきに代えて―――      岩佐敏子



ふしぎらんどでは
いっしょうけんめい
働けば 働くほど
時間が
どんどん へります
だから
働きすぎる人は
時間の貯えがなくて
時間貧乏になります


ふしぎらんどでは
働かないで のんびり
遊んでいると
時間が
どんどん たまります
だから
遊んでばかりいる人は
時間の貯えがいっぱいで
時間大尽になります

 

2013年6月4日火曜日

  内村剛介「スターリン獄の日本人-生き急ぐ」より


何が恐ろしいといって、深夜墓地をあばいて屍体を剥ぐ亡者の姿ほど恐ろしいものはなかろうと少年の日に想像してはおびえたものだが、今こうして生身の人間から金歯を抜く様を見てみれば、このほうがよほどすさまじい。手ごめという日本語がなぜか金歯剥ぎにぴったりあてはまる。
 剥ぎ取られるほうはもはやあらがう様子もないのに、このあわれな男の口の中へ木の端が押し込まれこじくりまわされる。歯茎はとうのむかしに破れ、男は血にむせんでいる。むせぶたびに、抵抗する気かと責められ、血だらけの木片で目頭をなぐりつけられる。口から目から髪まで血だらけだ。
  内村剛介「スターリン獄の日本人-生き急ぐ」より
当局の審問は判決があったのちもつづく。それは拘禁の全期間にわたる。この審問は精神の糧をも奪い、かくしてついにみずから進んで隷従するところの「奴隷の心性」をつちかうことを目的としている。だから囚人はみずからの精神の糧を守り、養い、これを当局に向けざるをえない。この精神の糧をめぐるたたかいはことばにはじまり、ことばに終わる。(作者の情況メモより)

*****************

内村剛介は敗戦後シベリアに抑留。
スターリンが死ぬまでラーゲリに政治犯として拘禁されていました。
身体はすでに囚人であり、奴隷である。
完全な支配はその精神の隷従を求めている。
それはいかにしてそのものの抵抗する精神の糧を奪い取るかにある。
その上で、
「この精神の糧をめぐるたたかいはことばにはじまり、ことばに終わる」
ここに、ことばのなんたるか、文学の何たるかが示されています。


2013年5月23日木曜日

メルマガ「親子でよむ詩」の配信をはじめました

いよいよメルマガをはじめることにしました。


親子でよむ詩
http://www.mag2.com/m/0001598016.html

毎週一個ずつ詩を選んでいきます。
********************

子どもから大人まで楽しめる近現代の名詩を選び、簡単な解説も付して
毎週一回お届けします。

季節や自然、生き方などわかりやすく味わいのあるよい詩を選びたいと思います。

ストレスの多い日々を生きていく心の栄養になりますように、
好きな詩に出会えますように、
詩を好きになってもらえますように、

※著作権があるものについてはできる限り著作権者に連絡し、許可をいただいた上で掲載しておりますが、一部著作権者のご連絡先が確認できない作品がございます。お気づきの場合はご連絡ください。

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よろしければご登録をお願いいたします。
親子でよむ詩の会 ^^;

2013年1月7日月曜日

三上緑詩集『いつか会った風に』

『 いつか会った風に』 三上緑詩集ができました。

2013年1月15日発行 A5 変形判 上製 192頁 
著 者  三上 緑   絵  篠原晴美
ISBN978-4-905036-04-3 C0092    1200円+税

著者略歴
 三上緑(みかみ・みどり)
 神奈川県横須賀市生まれ。三歳のとき、横浜市戸塚区(現・栄区)に転居、現在に至る。一九七〇年代後半から童話の同人誌「はとぐるま」に所属し、童話と詩を書き始める。その後、重清良吉氏、水橋晋氏の指導を受け、詩作に専念。二〇〇一年から詩誌「かもめ号」同人。詩集に『足』『太陽の散歩』(ともに樹海社刊)がある。

画家 篠原晴美(しのはらはれみ)
 神奈川県生まれ 木版画家(水性木版画で作品を作る)。 主な受賞歴 2000,2001,2003,2006年 ボローニャ国際絵本原画展入選 、2000年 フランス Figures Futur 2000(児童書ブッ クフェアー)入選。童謡絵本や児童文学雑誌の表紙、挿画多数。展覧会活動も精力的に行っている。

詩集より



やまゆり


やまゆりの花が
咲きほこっていた
あの夏の日
一本 一本 つんだ
かかえきれないほどつんだ
オレンジ色の花粉で
まっ白な
ワンピースがそまった
おこられるなと思った
でも
母は
ありがとうと言って
大きな
花びんにいけてくれた



百日紅(さるすべり)


まっさおな空
百日紅の花が
ふんわりと咲いている
一輪一輪は
さみしげな花だけど
いっぱい集まって
毎年おとずれる夏
あなたの好きだった
花が
暑さの中
私にがんばれと
おしえてくれる



からっぽ


頭の中が
コロコロ カラカラ
ばあちゃんは
首をふると音がするという

わたしは
耳をちかづけたが
聞こえない

でも
ばあちゃんには
ひびきわたっているという

若かった頃は
子どもをせおって
毎日 店で
コロッケをつくってた

今はその音が聞こえるだけ
涙をポロポロこぼしながら
くりかえす
からっぽ
からっぽと



としさんの世界(二)


としさんの
気持ちよさそうな寝息が
ながれる

夢をみている 
子どものころ
横須賀の海で
まっ黒になって
カニやフグをつかまえ
夏は一日中あそんだ

目がさめて
がっかりしている
九十歳のとしさん
   




としさんの世界(


訪問入浴で
さっぱりした午後
昼寝中に
「おかあさん」 と
わたしは
「なに」 というと
気持ちよさそうな顔
ねごとだった

どんな夢をみているのだろう
うれしそうな顔
きっと母親に
おやつのふかしいもを
もらった夢を

秋の陽ざしに
ほっとする


としさんの世界(


しかたないんだ
だれのせいでもない
としさんはつぶやいた

会いたいな 息子に
もう少し生きていてくれたら
部屋の空気が
つめたくとまった

私は
聞こえないふりをして
としさんの
そばをはなれた

今年いちばん寒い日


 
心がゆれる


なんでもなく
くらすことが
あたりまえだと思う
わたしがいる

一日一日がすぎていく
だけど
このふつうのときが
いちばん幸福だと
あの大地震から
いつも思っている

ゆれる心をおさえて