2015年5月10日日曜日

「ざわざわ~こども文学の実験」__あたらしい児童文学の雑誌



あたらしい児童文学雑誌を発売します!

編集 草創の会    A5判並製 本文272頁 2015年 5月15日発売予定
定価:本体1200円+税

(実際は5/20以降発売になりますから書店に並ぶのは5月末ですが、100冊しか書店への配本ができませんから、書店の店頭での入手は困難です。直接弊社かネット書店または草創の会にお申し込み下さい。(弊社送料無料))

全目次
口上内田麟太郎 創刊によせて宮川健郎 2  for Children写真落合次郎 4~7          リレーエッセイ 子どもの現在 霜村三二 8            

特集 あまんきみこ      
あまんきみこアルバム 10 ︿初出再現びわの実学校版 くましんし 17  あまんきみこのエッセイから 21
インタビュー対談│作品は一通しかだせないラブレター あまんきみこ×矢崎節夫 22 あまんきみこ│たぬきねいり 内田麟太郎 52
贖罪の児童文学│あまんきみこの人と作品│矢部玲子 55     
境目の魔女ほんわり系 谷山浩子 62
あまんきみこ論│経験と成長のファンタジー 山元隆春 66  
きつねのおきゃくさまを教材として読む/作品として読む 府川源一郎 76
あまんきみこ 加藤真理 83  
ずっと友達にしていただいて 宮川ひろ 86  
あまんさん 岩崎京子     89
あまんきみこ年譜+文献 宮田航平 92   
谷山浩子ねこの森には帰れない紹介編集部 95        
  
︿小特集 加速するナンセンス│起承転転⋮⋮
インタビュー  内田麟太郎さんに聞く  内田麟太郎×宮川健郎162
村上しいこと二宮由紀子のナンセンス│私的ナンセンスの読み方の模索 内川朗子174
少年詩におけるナンセンス│笑える詩・笑えない詩│菊永謙178
宮澤賢治とナンセンス 平澤信一185
ことばあそびの世界│子どもの中のイノセンス│吉田定一189
白秋にはくしゅ 林 木林194
中原佑介のナンセンス芸術論を読む 入江隆司198

童謡 さかのいんりょく矢崎節夫96  すき西村祐見子98  万華鏡佐藤雅子100  いっしゅんおがたえつこ102    コンパス織江りょう104  ぬけがらっぽ大竹典子106  村の子宇部京子108  やきいも池田もと子110          
    金魚のゆかたみもざすみれ112

 創作 りくまんぼうの話村上しいこ114   ゆみことちいさいへび山中利子125        
    連作あらわれしもの①あらわれしもの・トミ 最上一平253

 詩 すみわたる・うみのセーター林木林134  ふられても・ふくろう内田麟太郎138  ベンチ石津ちひろ141    南風がいっぱい入る部屋 久保恵子 144   サシバの島│宮古島 村瀬保子146  かくれんぼ 小泉周二148   きのうの夢・ばくはつ いとうゆうこ150  世界一のせんたく屋 さきあけみ152  まちわびて・ひみつ   あきもとさとみ154  なみだ 加茂照子156  さかな 二宮龍也158  きっぷ・春の汽車・ナズナ応援団・春のバス 津川みゆき202  蝉氷 秋月夕香208  ぽぽらぽら 岩本良子210   漢字の練習綱引き・青空と富士岩佐敏子212  カマキリの行進 山本なおこ214  筋斗雲 下田喜久美216   落葉の歌 のろさかん218  ひらがなのように 吉田享子 220   たこあげ 小野浩222  冬の虹 高杉澄江224詩Ⅲ たにし 清水ひさし236  あのね 播磨カナコ238  子守歌 さとうなおこ240  そうじとうばん かわさき洋子242   空 江口あけみ244  しんあいなるキャプテン 野田沙織246  カンガルーさん 吉田定一248   古家の夕暮れ 藤真知子250
  
随想 イコン画の由来 加藤丈夫160  矢崎節夫著月夜の詩人 吉川行雄を読む 海沼松世 226  魅せられた一冊│ミッシェルマゴリアン作おやすみなさいトムさん  千田文子230   ことば荘便り 小林雅子232

ざわざわロゴデザイン 内田麟太郎/表紙絵 高畠純/表紙・扉デザイン 秋元克士
本文さしえ・写真など(田中六大、大井さちこ、たかせちなつ、村山里野、伊東和幸)



私ども草創の会は、児童文学の創作・詩・童謡・評論の書き手50名前後にて構成され、このた
び児童文学雑誌「ざわざわ~こども文学の実験」(編集企画 内田麟太郎 菊永謙 宮川 健郎
最上一平 矢崎節夫)を創刊しました。 よろしければぜひご購読をお願いいたします。
A5 判 272 頁 定価:本体1200 円+税 発売 四季の森社
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※定期購読(第一期1号~3号まで)または同一号3 冊以上のお買い求めについては定価:本体1200 円+税のところ特価:本体1000円+税にいたします。1 ~2冊の場合は定価。
送料については3冊以上は無料。1~2冊の場合送料は実費となります。
定期購読について送料無料でうけております。下記にお申し込み内容、お名前など必要事項をご記入の上、草創の会事務局または四季の森社までお申し込み下さい。現品に郵便振替票をつけてお送りいたします。

・草創の会事務局 〒358-0024 埼玉県入間市久保稲荷5-11-19 海沼松世方
・四季の森社 〒195-0073 東京都町田市薬師台2―21―5
こども文学の実験――――――お申し込み書――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
宛先(どちら宛かお選びください) ・草創の会 ・四季の森社 御中
児童文学雑誌「ざわざわ~こども文学の実験」を下記内容で申し込みます。
お申し込み内容
 ・「ざわざわ~こども文学の実験」を___  冊、申し込みします。
・「ざわざわ~こども文学の実験」の定期購読(第一期1号~3号まで/1号をお持ちの方は2号、3号、4号の3冊と明記願います)の申込をします。
お名前 〒 ご住所
お電話
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●メールで注文できますか? という問い合わせがありますが、もちろんできます。
●地方小出版流通センターを通していますので、書店でご注文できます。またネット書店にもたぶん6月中旬には登録されているはずですから、アマゾンなどほとんどのネット書店でも入手できます。
●定期購読の送料については無料です。
●町田駅前の久美堂本店と久美堂小田急店には四季の森社の本をいくつか常設していただいております。ざわざわも6月15日現在おもとめできます。
●コメントに正誤表、野田沙織氏の作品再掲しております。ご確認ください。
 

2015年1月9日金曜日

久保恵子詩集めぐみちゃん

久保恵子詩集めぐみちゃん  絵たかせちなつ 

  2014年 12月15日発売  定価1200円+税


 この詩人の作品は、生きる主体としての自分の思考とそのこころの襞を非常に丁寧に観察し、表現しています。それゆえに詩の一つ一つには生きる倫理とでもいう ようなものがうかがわれます。しかもメッセージ性が強いので、読む人の現実を内側から問い、支え、力づけ、変えていく大切ななにかがあります。
 作者は教師だったので、おそらくそこには80年代の教育現場での上からの締め付け=日常管理の徹底化という背景があるかと思います。特に日本の社会では集団の倫理の問題なのに個人的な倫理が問われるのです。その葛藤のなかから生まれた世界だと思います。




久保恵子詩集めぐみちゃんから



 めぐみちゃん
 

めぐみちゃんは 動作がおそいんです
何をするのも 他の子のあと
テストを やりおえるのも
さんすうセットを かたづけるのも
体そう服に 着がえるのも
走るのも
給食を 食べおえるのも
おおかた びりです


でも そんなこと
めぐみちゃんは たいして気にもしてないし
他の子たちも いつのまにか
めぐみちゃんが のろいのは
ごくあたりまえのような
気がしているみたいです
 

めぐみちゃんは
友だちが にぎやかに遊んでいるときも
よく ぼんやりと
空を見つめて すわっています
めぐみちゃんのめがねには
めぐみちゃんにしか見えない 何かを
見させる力が あるのかしら
めぐみちゃんは いつも
不思議な 夢の世界にいるみたいです
 

でも いつだったか 朝の会のときに
「けさ あかいあさひを 見ていました」
と 意外なほど
はっきりした声で 言いました
 

わたしは そのとき ハッとしました
わたしも その日
きれいな朝焼け雲を 見たのです
じっくりながめていたいような空でした
それでも 一分をおしむ
あわただしい朝のこと
少しずつ色あいを変えていく 美しい空を
ただじっとながめているなんて
かなわぬ夢でした
めぐみちゃんは おそらく
じっと 見つめていたのでしょう
 

そして きょうの朝
また日直になった
めぐみちゃんの発表のとき
「ゆうべ まるいお月さんを見ていました」
と しあわせそうに 言ったのです
 

ゆうべの月を わたしも 庭先で
しばらく ながめていました
冷えきった夜空に
こうこうと輝く月
いくつかの星々も
どんな宝石よりもきれいに
またたいていました
とても明るい夜空で
うすく綿をのばしたような 灰色の雲が
こく うすく 色あいや形を変えて
流れ 流れていくのが よく見えました
 

「めぐみちゃんのように
空や お月さまが きれいだなあって
思う心が とてもだいじなのです」
わたしは 朝の会のあと
1年生の子どもたちに それだけ言うと
さんすうの授業を 始めました
 

でも 一時間かけてでも
子どもたちに 語ってあげればよかった
夜空の美しさ
早朝のすがすがしさ
わたしたちは たえまなく変化している
大きな自然に つつまれていること
そして わたしたちも
その中の一部であることを

2014年10月16日木曜日

加藤丈夫詩集 仙人  


詩集 仙人

2014 年9 月30 日  第一版第一刷発行
著 者   加藤丈夫
絵と版画   大井さちこ
定価1200円+税
ISBN978-4-905036-07-4 C0092

きょうはお待ちかね触れ合いの日
子供とお年寄りとの触れ合いの日
普段町にも出掛けない一人暮らしのお年寄りも
晴れて招待客となり孫の年頃の子供らと
一緒に過ごす日なのです(「伝承あそび」から)

東北の大震災の衝撃から仙人の住む世界まで、虚と実、実と虚が見え隠れする​25編の詩。​


加藤丈夫(かとうたけお)
一九三一年九月埼玉県寄居町に生まれる。還暦を過ぎてから詩作を始め、同人誌「おりおん」に入会、現在に至る。
詩歴 詩集『ただ今受信中』(銀の鈴社刊)
   詩集『山の神の祀り』(てらいんく刊)
   ふるさとの詩コンクールで第六回太田玉茗賞

絵・版画 大井さちこ(おおいさちこ)
一九六二年東京都に生まれる。小学校の頃から山本日子士良氏に油彩画を学ぶ。
子どもの誕生を機に、絵本作りや銅版画を始め、グループ展などに出品。エッチングにやわらかな彩色を施し、物語を持つ小さな世界が注目される。装画に詩集『ねこの秘密』『原っぱの虹』(いしずえ)『空の入口』(らくだ出版)『風のシンフォニー』(てらいんく)などがある。
詩集より
かやつりぐさ
   
ひろい のはらの まんなかで
よにんで ままごとの おとまりほいく
かやつりぐさを つりましょう

しほうへ すうっと ひいていく
ひろがる ひろがる しかくい かや
みどりの かやの できあがり
すそを もちあげ もぐりこめば
よにんだけの ひろい せかい
くさの かおりに つつまれて
ねむって しまうの もったいない

お盆さま

ふだんは目立たない屋敷林の木立
玄関へ点々続く踏み石の列
きょうはどこか蘇ったよう
それぞれの息吹さえもきこえて

静寂な家の中の納戸まで
そわそわ空気が揺れていて
人の居ない庭の植え込みまで
誰か人の気配が感じられ

そうですきょうは八月十三日
月遅れのお盆の初日です
お招ばれの亡き人たちが
里帰りして家の内外にあふれています
苔蒸した杉の根元を撫でているのは
日焼けした顔に白い顎鬚の甚五郎爺さま
桐箪笥の紋付羽織に風をあてているのは
白髪を髷に結ってるおかね婆さま
植え込みの下の草掻き分けてボールを捜すのは
小学校の制服姿のぼくの弟の哲司くん

乾し草の香りのする盆棚では
仏壇から出されてピカピカのお位牌たちが
揺れる灯明に照らされて
くすぐったそうにすまし顔で控えています


ぬえ
 私は毎晩きまってこんな夢をみる。もっと
も夢としてはあまりに鮮やかなのであるいは
夢ではなくて現実なのかも知れぬ。
 まず草木も眠る丑みつ刻になると「ひょう
ひょう」と人の声ともつかぬ、鳥の声ともつ
かぬ悲しげな声が波の上から聞こえてくる。
 雨戸を繰って外を覗くと弦月の下一艘の丸
木舟がわが家めざして近付いてくる。
 申し遅れたが私は芦屋の海辺の粗末な小屋
に住んでいる老人である。
 家の前の舟寄場にもやった丸木舟から人の
姿が現れ岸辺に立つ。
 月光の下を漁師風の男が私のほうに歩いて
くる。
 こんな話をする。
 自分はもともと漁師で平凡な毎日を送って
いたが或る時途方もない罪を犯したらしい。
くり舟に押し込まれ暗い川に投げこまれた。
 それ以来暗い冷たい水の中を漂って日の目
を見たこともない日々を送ってきた。なんとか
して日のさす世界に戻りたいと思う気持ちと
一方で自分の犯した罪は死に値する。こんな風
に生きながらえているより一刻も早くこの世から
消え去るべきだという気持ちもある。
 一番つらいのはどっちつかずにこうして波
の下を彷徨っていて自分で自分を決めかねて
いる煮えきらない私の性格なのだ。

 夢の中でこの話を聞かされて私は何とも答
えられずにいる。ただこの漁師の物腰が自分
にそっくりだなと思いながら目を覚ます。
  
すると波音の合間から「ひょうひょう」と
とらつぐみの鳴き声が現実となって聞こえて
くるのだった。
   
        注 ぬえ…とらつぐみのこと。山林に棲息しているつぐみ  
          の一種で夜間もの悲しい声で鳴く。


妻恋仙人
身寄りのない男がいた
美人の女房がいたのだが結婚して間もなく死なれたの
でその後独身を通しているのだ
夫婦の間に子どもがいなかったので今も粗末な小屋で
のひとり暮らし
 真面目によく働くし 男ぶりは良し 年は若いのだ
 再婚したらどうだろう
と聞いてみた
 いえいえ私はとてもそんな気になれません
死んだ女房が忘れられず せめて一目会いたいだけ
 でございます

それを聞いた村の長老
 この世で亡者に会う方法がひとつある
 この世に伝わる仙術を身につけて仙人になることだ
 すればお前の恋しい女房とも好き勝手に会えるのさ

すると男はつぶやくように
 そうですか
 それなら私はどんな苦労も厭いません
 必ず仙人になってみせましょう

それから男がどんな修行をしたか誰も知らない
家に閉じ籠ったまま 物音もしない 煙も立てず
生きているのか死んでいるのか
庭には蔓草がぼうぼう生えて白髪のような綿毛の付い
た実が風に飛ばされているばかり
いつか男のことを覚えている人も居なくなり
百年経ったある日のこと 傾きかかったあの小屋から
その男が出てきたのだ
 顔はあのときのままの若々しさ
 肌はつややか 目は生き生き
 髪の毛だけが真っ白で
 庭の蔓草の綿毛のよう
突然朗々と詩を吟ずる
《菊を採る東籬のもと
 悠然として南山を見る》

肝心の恋しい女房に会えたかどうかは触れずじまい
聞こうという人も居なかった
     
注 《菊を採る…》 陶淵明の詩『飲酒二十首』の其の五より。陶淵明は、隠逸詩
人といわれるので、その印象が強いが、「その詩は質にして実は綺、痩せていて
実は腴(こ)ゆ」(蘇軾)というべきもので、非常にダイナミックな詩人である。
  この詩のつづきは「山気 日夕に佳し。飛鳥 相与に還る。此の中に真意有り。
弁ぜんと欲して已に言を忘る。」とある。
  中国の「風景」は光が当って見えている「像」だけでなく、「光」自体と、風という
ある状態をとった「気」のことも含めて指している。目の前の物理的な風景だけで
なく「気」の中に置かれている自分も含まれるのである。


かもめは故郷を見続ける

その時はまだ心に余裕があった。濁流の中を膝迄泥水に浸かり
ながら私の一家は避難所目指して歩いていた。私はひめかの手
をとって障害物を避けながら一番後ろからついていった。

家を出てから十分後、突然の引き潮が地上の物を何もかもさら
っていってしまった。私は咄嗟に木の枝につかまってそこに留ま
った…が、ひめかひめかが居ない。 
 「ひめかあ! 」「ひめかあ! 」
 と叫びつづけたがそんな声は波の音でかき消されてしまう。
あれから六ヶ月、行方不明者となったひめかを探したい。もう
一度会いたい。
私は海岸のコンクリート面にローマ字でHIMEKAと書いてみた。
巨大なHIMEKAの文字は大きすぎて地上からでは読めなかった。
 
そんなとき、パラグライダーかもめ号の操縦士酒井氏から愛機
かもめ号で空から海岸を写したいとの知らせが届いた。しかも
薄磯地区を海岸沿いに飛翔してその映像を私の受像機に送って
くれるという。

その日がきた。

あの日、陸地も海もなく暴れ狂った薄磯の海岸は打って変わっ
て穏やか。かもめ号はその名の通り高度二百メートルの上空か
らかもめのように軽やかに、速くもなく遅くもなく薄磯の海と陸の
姿を画面にくりひろげた。
 
延々と続く瓦礫、なぎ倒された大木、船腹を見せて打ち上げら
れたままの漁船。震災後の薄磯は死んだような不気味さ。
この世の終わりを思わせたあの日が戻ってきた。
私はあの三 ・一一の津波の日に別れてから、六ヶ月ぶりに、
あの小さな手の温みまで実感した。

「生きたかったのだな」と思わず呟いていた。

 気がつくと、空から見える私とひめかは瓦礫の散乱する海岸
で、花の咲き乱れる草の上を手を取りあって歩いていたのだった。
  
     注…平成25年10月NHK番組「かもめは故郷を見続ける」を参照

2014年8月15日金曜日

子どもと詩の架橋  少年詩・童謡・児童詩への誘い  菊永 謙評論集




 子どもと詩の架橋  少年詩・童謡・児童詩への誘い  菊永 謙 
 評論集 A5上製 本文360ページ  定価2000円+税
 ISBN:978-4-905036-08-1

子どもと大人が共に感動しつつ結びつき合う少年詩や童謡の魅力について語る待望の評論集。まど・みちお、金子みすず、西条八十、サトウハチローはじめ現代の詩人たちのたくさんの作品を紹介しながら、少年詩やうたのたのしさ、おもしろさ、ふしぎさを味わえる。幼稚園・保育園・小学校・中学校の先生たちにおすすめの一冊

目次

Ⅰ 子どもの心を求めて
  子どもの詩の魅力
  幼児のことばの採集 ─詩的なるものへの注視─
  小さな子どもにも詩や歌を
  詩行のなかの子どもたち
  子どもの内部光景
  言葉の光芒

Ⅱ  少年詩の現在
  少年詩の現在と可能性 ─多様な表現性を秘めるジャンルへ─
  1 大きな変容と拡大
   2 詩誌連動の活性化
   3 詩域の多様化
   4 事物詩の収穫
   5 事物詩の多様化
   6 物語詩の可能性
   7 民話詩の試み
   8 方言詩の周辺
   9 視覚詩(ヴィジュアル・ポエトリィ)の試み
   10 子ども像の模索
  
  事物詩のおもしろさ
  やわらかな眼差し ─山中利子の「犬のたろう」をめぐって─
  まど・みちおの魅力 たのしい歌と厳しい詩と
  みずみずしい表現の試み
  まばゆい記憶の光景
  自然と幼い日の輝き
  さまざまな試みとその変容
  『何をどう書くか』 ─モチーフをいかに活かすか─

Ⅲ  詩人たちの横顔
  高良留美子をめぐって ─内なるアフリカについて
 やさしい心と鋭い視線と ─田中ナナの魅力─
  明るさへの志向 ─高木あきこの詩世界
  生命への慈しみを記す詩人 ─谷萩弘人の詩空間
  うつむく詩人の横顔 ─吉田定一覚え書
  『亡国』の詩人 ─畑島喜久生の詩空間
  物語から劇へ ─浜田康敬小論

Ⅳ  童謡をめぐって
  童謡の黄金期 ─そして、みすゞたちの誕生
  金子みすゞの世界 ─童謡の輝く時代─
  童謡・少年詩における名詩
  西条八十『少女純情詩集』
  『赤とんぼ』におけるサトウハチローの存在意義
  童謡・少年詩・子守唄関連資料ガイド ─特色ある数冊から

    あとがき
   〈初稿発表一覧〉
                        絵・版画 大井さちこ